多くの企業では、重要な情報がさまざまな場所に分散しています。Google Drive、Confluence/Notion、メール、PDF、SOP(手順書)、技術チケット、議事録など――必要な情報を探すたびに、担当者は複数のツールを行き来し、時間をかけて「正しい資料」「最新版」を確認しなければなりません。
こうした課題を解決する手段として注目されているのが、社内RAG(Retrieval-Augmented Generation)です。
社内RAGは、社員が自然な文章で質問すると、社内のナレッジベースから関連情報を検索し、引用元付きで回答を返す仕組みです。
本記事では、実務で使える視点で「社内RAGの試験導入(PoC)」をどのように進めると効果的か、ポイントを整理してご紹介します。
社内RAGとは?
RAG(Retrieval-Augmented Generation)は、次の2つの機能を組み合わせた仕組みです。
- Retrieval(検索・取得):社内ドキュメント(PDF、Word、Wiki、チケット、仕様書、SOPなど)から関連箇所を探す
- Generation(生成):取得した情報をもとに、分かりやすい形で回答を要約・整理する
最大の特徴は、AIが一般的な知識だけで答えるのではなく、社内資料を根拠にして回答できる点です。さらに、引用元(参照リンク)を提示できるため、回答の妥当性をすぐ確認できます。
AI companyとして企業向けの実装に注力する NKKTech Global は、社内RAGを「速い・正確・検証可能・運用しやすい」形で提供することを重視しています。
なぜ社内ドキュメント検索の高速化が必要なのか
1)検索に時間がかかり、生産性が落ちる
「このAPIの必須フィールドは?」「stagingのデプロイ手順は?」といった質問でも、正しい資料を見つけるのに15〜60分かかることがあります。
2)情報が分散しており、最新版が分かりづらい
同じ仕様書でも複数バージョンが存在し、どれが正しいのか判断が難しいケースが多いです。
3)知識が属人化しやすい
特定のシニアメンバーだけが知っている状態になると、オンボーディングや引き継ぎの負荷が増え、リスクも高まります。
4)Support/運用部門でも「正しい回答」が必要
技術的な問い合わせや運用判断を行うチームにとって、SOPに沿った一貫性のある回答を素早く得ることは重要です。
社内RAGの試験導入(PoC)の進め方
ここでは、無理なく成果を出すためのPoC手順を紹介します。
Step 1:対象ドキュメントは絞ってスタートする
最初から全資料を取り込むのではなく、まずは効果が出やすい領域に限定するのがポイントです。
おすすめ例:
- SOP/業務手順書
- 技術資料(API仕様、README、DBスキーマ、Runbook)
- PRD/SRS、業務ルール
PoCの目的は「網羅性」ではなく、検索速度と回答精度の改善です。
Step 2:ドキュメント構造とアクセス制御を設計する
社内RAGの品質は、次の要素に大きく左右されます:
- 資料の整理状況
- 閲覧権限(誰が何を見られるか)
- 機密情報の保護
NKKTechでは、以下の設計を基本にします:
- プロジェクト/部門ごとのナレッジ区分
- ロールベースのアクセス制御
- 検索ログによる監査性
Step 3:Chunking(分割)を最適化する
検索精度は「ドキュメントの分割方法」で大きく変わります。
例:
- API仕様 → endpoint単位
- SOP → 手順+条件単位
- 議事録 → topic/決定事項単位
適切にchunkingすることで、ユーザーが曖昧に質問しても正しい箇所を引きやすくなります。
Step 4:Hybrid Searchで精度を上げる
技術文書では、ベクトル検索だけでは弱い場面があります。
特に以下はキーワード一致が強く効きます:
- エラーコード
- 関数名
- DBテーブル名・カラム名
- 社内固有用語やID
そのため、PoC段階から Hybrid Search(dense + sparse) を採用することで、意味検索とキーワード検索の両方を強化できます。
Step 5:引用元付きで回答を返す
「信頼できる社内AI」に必要なのは、回答の見やすさだけではありません。
参照元を提示して検証できることが重要です。
理想的な出力は:
- 端的な結論
- 必要に応じた詳細(手順/パラメータ/注意点)
- 引用元(リンク・参照箇所)
これにより、ハルシネーション(AIの誤回答)を抑制できます。
社内RAGが特に強い質問カテゴリ
Engineering / DevOps
- 「本番デプロイのチェックリストは?」
- 「version X のrollback手順は?」
- 「このサービスのcron設定はどこ?」
- 「このDBカラムの用途は?」
QA / Product
- 「この機能の受入条件は?」
- 「最新バージョンで業務ルールが変わった?」
- 「正しいテストフローは?」
Support / 運用
- 「障害Xの対応手順(SOP)は?」
- 「この問い合わせの正式な回答ガイドは?」
PoC評価のためのKPI(導入判断の指標)
試験導入の成果は、以下の指標で評価できます:
- 検索時間の削減:1人あたり何分短縮できたか
- 回答の正確性:引用元と一致しているか
- 信頼性:参照元が明確で検証しやすいか
- 属人化削減:シニアへの質問がどれだけ減ったか
- 運用性:資料更新・権限管理・監視が容易か
NKKTech Global:実運用を前提にした社内RAGを提供するAI company
企業向けのAI検索・ナレッジ基盤の実装経験を活かし、NKKTech Globalは以下を重視します:
1)社内ナレッジ検索の課題を「実務目線」で解決する
2)引用元+Hybrid Searchで精度と信頼性を高める
3)拡張性・運用性のある設計で、長期運用に耐える仕組みにする
社内RAGのPoCをご検討の場合、NKKTechは以下を支援できます:
- 現状ドキュメントソースの整理・監査
- 優先ユースケースに沿ったPoC構築
- 実際の質問を使ったカスタムデモ
まとめ
社内RAGは単なる「便利なチャットボット」ではなく、企業の生産性を大きく引き上げる仕組みです。
- 検索時間を削減
- 情報の一貫性を確保
- 属人化を減らす
- オンボーディングと運用を加速
社内ドキュメント検索を高速化したい企業にとって、社内RAGの試験導入は、短期間で価値検証できる非常に現実的なAI施策です。
お問い合わせ先:
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